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時効が完成した後の債務の承認って何?どうなるの?
「借金の時効が完成したと知らずに『払います』って言ってしまったけど大丈夫?」
「どういうことをしたら借金を認めたことになるのだろう…」
昔の借金なら、もう時効で消滅させることはできないのかなと思いますよね。
実際に、時間がたった借金は時効によってゼロにすることができます。
民法では、債権の消滅時効というものが定められていて、一定の期間(5年または10年)が経過したあとにこれを援用(主張)することができます。
でも、時効が完成した後に借金を認める(債務の承認)とどうなってしまうのでしょうか。また、どのような言動が債務の承認にあたるのか。一緒に見ていきましょう。
1.そもそも債務の承認って何?
債務の承認とは、法律的にいうと「時効を主張することで債務を免れることができる人が、時効によって権利が消滅してしまう人に対して、その権利が存在することを認めること」です。
簡単に言うと、「借金をしている人が、借金があることを認めること」をいいます。
そして、債務の承認がおこなわれると、借金をしている明確な証拠があるのと同じなので、借金の時効がリセットされてしまいます(民法152条1項)。
2.時効完成後に承認するとどうなる?
時効の完成前に債務の承認をすると、借金の時効がリセットされますが、時効の完成後ではどうなるのでしょうか。
結論としては、もう時効の援用ができなくなります。
なぜなら、時効が完成していることを知らなかったとしても、自分で自分の借金があることを認めているのだから、自分で時効の援用の権利を放棄しているのと同じで、後から「それはなかったことにしてくれ」というのは筋が通らないと考えられているからです。
例えば、20年前の借金で、明らかに時効期間が経過しており、時効になっていたとしても、突然来た督促に応じて、認めた発言をすると、もうそれによって時効は使えないことになってしまいます。
そして、債務の承認は、特にこれといった形式が定められておらず、どのような形でおこなっても認められてしまいます。
それでは、どのような場合に債務を承認したことになってしまうのか、次の項目で見てみましょう。
3.債務の承認の具体例
債務の承認は、上記のとおり、特にこれといった方式が定められていないため、基本的に、借金を認めていると判断されるものであれば何でも認められます。
明示(はっきり示すこと)でも黙示(はっきり示さないこと)でもよいですし、書面によるか口頭によるかも問われません。
具体的には、
- 借金を支払うことを約束する書面に署名する(電話で「支払う」と言う)
→支払うことを約束するのは、借金があると認めていることになります。 - 支払いを待ってくれないかと相談する
→支払いを先延ばしにすることを希望するのは、借金があることが前提となるので、借金を認めたことになります。 - 「少額でも支払っていただければ大幅に借金を減額しますよ」と言われ、少額を返済した
→金額を問わず1円でも支払ってしまうと、借金を認めたことになります。 - 催促されて、専門家に相談するつもりで「こちらでなんとかします」と答えた
→借金を「なんとかする」=「借金を支払う」意味にとらえられ、認めたことになってしまうかもしれません。 - 自宅訪問をしてきた業者に対して、「払ってくれるんですよね?」と聞かれて、うなずいた
→言葉に出さなくても、認めたことになってしまうことがあります。
というような言動が、「債務の承認」となります。
4.注意点
債務の承認は、どのような形式でも認められてしまうことが多いため、曖昧な知識で自分で時効を援用しようとすると、気づかないうちに借金を認めてしまっていたなんていうことが起こり得ます。
そのため、時効を援用しようと思ったときは、相手方とは直接会わず、連絡も取らず、一切の接触を避けて専門家に相談するのが安心です。
業者は回収のプロです。誘導にも気を付けなければいけませんし、不利な証言を確保すべく、会話は全て録音されていると思っていただいて結構です。
5.まとめ
債務の承認とは、借金の存在や支払い義務を認めることで、時効期間がリセットされてしまうことをいいます。
しかも、時効が完成した後に承認すると、もう時効を援用できなくなります。
承認の形はどんな形でも認められてしまうので、注意が必要です。
「自分で時効の援用をするとうっかり債務の承認になってしまいそうで不安…」
「どうしたら確実に時効の援用ができるかわからない…」
こういった疑問は、専門家である司法書士ならすぐに解決できます!
どうやったら債務を承認したことにならず時効の援用ができるのかを自分で考えて行動するのはとても神経を使う作業です。
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